不動産会社や金融機関の担当者はこれらのことを知らない人が多い。国内の金融機関であれば、話せばわかってくれるが、近年、外資系の金融機関が日本になだれ込んできて、事情が変わってきた。外資系の金融機関は「生の取引価格」ばかりを重視して、取引事例の価格を欲しがる傾向がある。しかし、彼らはその資料を本当に利用可能な資料に加工してから使っているのだろうか。「生の資料」を持って現地に行き、不動産の持つ特殊な事情をチェックできる能力のある人を抱えているのだろうか。否、スピードをモットーとしている外資系金融機関は、「生の資料」を不動産鑑定会社から提出させることが目的のようで、資料を入手しただけで安心しているように見える。この取引価格信仰は、同じ外資系金融機関でも、日本人より彼らを使う外国人、特に米国人にその傾向が強い。彼らは日本における取引事例の量、質、入手手段が、米国のそれとまったく異なっていることを知らないのである。残念ながら、日本の取引価格についての情報は、米国のそれと比較にならないほど質量ともに劣っている。日本で不動産の売買を正確に把握しているのは国税庁であるが、その売買価格は公表されていない。日本不動産鑑定協会も売買価格を保存しているにはいるか、それは全国の売買総件数の一〜二割に過ぎない。しかも、この資料は不動産鑑定協会に利用料を払った不動産鑑定士しか入手することができない。利用価値がないとはいえないが、米国に比して低いのである。
(不動産情報)
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